義肢/義足
義肢は、病気や事故等で足や手を失った方が使用する義手や義足のことです。
人によって身体の形は異なりますし、ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)も違います。幸和義肢研究所では材料や製作方法に日々頭を悩まし、ユーザーの皆様がADLで使用しやすい義肢をとなるよう工夫を重ねています。
様々なメーカーの義肢を取り扱っており、使用者様のお身体に合うようにセッティングすることができますので、どうぞお気軽にご相談ください(他社でセッティングした義肢の方でも大丈夫です)。
障がいの状態や使用者の目的等に応じて、様々な義足があります。
義足の種類
股義足
股関節部分で切断されているときに使われる義足で、大腿部での切断でも使用される場合があります。膝義足(膝継手)や足部などと組み合わせて使われるため、全体のバランスを考えたセッティングが重要です。
大腿義足
大腿部で切断されているときに使われる義足です。障がいの状態によっては、股義足が使われる場合もあります。やはり膝義足(膝継手)等と組み合わせて使われます。
膝義足(膝継手)
股義足・大腿義足で「膝の機能を代替」するために使われる継手です。立脚時には、膝継手を安定させつつ、膝折れ時には転倒を防ぐための機能を持たせてあり、遊脚相ではスムーズな下腿部の振りができるようにする機能があります。
下腿義足
膝より下部分の切断のときに使われる義足です。足部、ソケット(切断部位と義足をつなぐ部品)などと組み合わせて使うことになります。
果義足
足首関節での切断のときに使われる義足です。やはりソケット部分、足部と組み合わせて使用します。
足根中足義足
かかとから指までの部分での切断のときに使われる義足です。
足部
足部とは足の形を形成して外観を整えた「足部分の部品」のことです。足関節・足先など、各部の歩行時の動きに応じた機能・形状を持たせてあります。
ソケット各種
切断部位を挿入し、義足との接点となる部分が「ソケット」です。障がいのタイプによって様々なソケットがあります。身体と直接接する部分なので、ずれたり擦れたりしないように、使用者の身体に合わせた調整が重要となります。
足袋式ソケット
体重は踵で支持し、踏み返しができるよう設計された義足です。義足の懸垂は断端の形状を利用して行います。
サイム義足ソケット
在来式ソケット<Conventional type socket>
1940年代まで標準タイプとして使用された義足です。皮革製ソケット、側方支柱で構成されます。
有窓式ソケット<Removal Window type socket>
1950年代にカナダ退役軍人省で開発されたプラスチック製全面接触式ソケットです。体重は断端末もしくは下腿全体で支持し、義足の懸垂は断端の形状を利用して行われます。断端を挿入しやすいように、窓を設計します。窓の位置は内側、前方、後方など、義足の構成や断端形状によって決定されます。
カナダ式、ノースウェスタン大学式、VAPC式などのタイプがあります。
無窓式ソケット<Cylindrical type>
有窓式のような開口部を設けない全面接触式ソケットです。断端を挿入しやすいよう、インナーソケットに「割」を入れたデザインです(写真はHCR式と呼ばれるタイプのもの)。
下腿義足ソケット
在来式ソケット<Conventional type socket>
従来より使用されてきた義足ソケットです。 体重は下腿及び大腿部で部分的に支持し、義足の懸垂は大腿部のコルセットで行います。
PTBソケット<Patellar Tendon Weight Bearing socket>
1957年にカリフォルニア大学で解剖学的特長を考慮し開発されたプラスチック製ソケットです。選択的体重支持方法を採用し、下腿部のみで体重支持を可能としたソケットです。義足の懸垂は膝上部のカフベルトで行います。
PTSソケット<Prothese Tibiale Supracondylienne>
1964年代にフランスのナンシー病院で開発されたプラスチック製ソケットです。PTB式と異なり、大腿骨顆部の全面及び側面を覆うため、支持面積が広く安定性の増加を目的としたソケットです。また、義足の懸垂は断端形状を利用して行う自己懸垂機能を持ちます。
KBMソケット<Kondylen Bettung Munster>
1966年にドイツのミュンスター大学で開発された木製ソケット(現在はプラスチック製ソケット)です。大腿骨顆部の側面を覆い、全面を低く設計して側方の安定性向上を目的としたソケットで、義足の懸垂は断端形状を利用して行う自己懸垂機能を持ちます。
TSBソケット<Total Surface Bearing>
1980年代にカリフォルニア大学で提唱された体重支持概念の名称です。PTBの様な選択的荷重方法ではなく、下腿の全表面での分散支持を考え、試みられた解剖学的ソケットです。その後、シリコーンライナーをはじめとする伸縮ライナーの登場によって、上記概念が比較的容易に達成できるようになりました。また、伸縮ライナーとの組み合わせによって、懸垂方法も多様な選択が可能となりました。
膝義足ソケット
在来式ソケット<Conventional type socket>
従来より膝義足の標準タイプとして使用されたソケットです。皮革製ソケット、側方支柱で構成されます。
有窓式ソケット<Removal Window type socket>
プラスチック製の全面接触式ソケットです。体重は断端末もしくは坐骨部で支持し、義足の懸垂は断端の形状を利用して行われます。断端を挿入しやすいように、窓を設計します。窓の位置は内側、前方、後方など、義足の構成や断端形状によって決定されます。
無窓式ソケット<Cylindrical type socket>
有窓式のような開口部を設けない全面接触式ソケットです。断端を挿入しやすいよう、インナーソケットに「割」を入れたデザインです。
大腿義足ソケット
四辺形ソケット<Quadri-Lateral socket>
坐骨で体重を支持するソケットの設計は古くから試みられてきましたが、現在の四辺形ソケットの原型は40年代後半のカリフォルニア大学の研究による解剖学的ソケットです。坐骨及び断端中枢部で体重を支え、義足の懸垂は、吸着式といわれる大気圧懸垂が一般的です。また、下腿義足ソケット同様に種々の懸垂方法が選択可能です。
坐骨収納型ソケット<Ischial Containment socket>
1970年代より登場したソケットで、四辺形ソケットのような坐骨での体重支持を主目的とせず、断端全体で体重を支えられるよう設計されたソケットです。
断端全体での体重支持が可能になった為、ソケットの形状は前後径を広くし、側方の安定性を考慮して内外径が狭いデザインです。併せて、坐骨枝を一部ソケットの中に納めるという特徴を持ったソケットです。
現在では以下のような様々なタイプが存在します。
●N.S.N.A
●CAT-CAM
●Narrow ML
●CSUDH …Etc
MAS <Maro Anatomical Socket Ischial Ramal Containment socket>
2000年にMarlo Ortiz氏により紹介された坐骨枝収納型のソケットです。それまでの坐骨収納型ソケットの進化系といわれるソケットで、座位時の快適性や断端の安定性向上、可動域の向上などが特徴として紹介されました。当社からも2名の技術者がMaro氏より直接技術伝達講習を受けました。
股義足ソケット
カナダ式ソケット<Canadian type Socket>
1954年にカナダのサニーブルック病院で研究開発され紹介されたソケットです。このカナダ式股義足は、新しいソケットデザインだけではなく、遊動の股継手・膝継手の導入、新しいアライメント概念、遊脚相制御装置の組み込みなど、大変画期的な義足として登場し、現在まで股義足のスタンダードとして認識されています。
ダイアゴナル式ソケット<Diagonal type Socket>
1962年にノースウェスタン大学で紹介されたソケットです。装着時の快適性を向上させる為に、開口部を広くするなど種々の工夫を行ったソケットデザインです。
UCLAアナトミカルソケット<UCLA Anatomical Socket>
1988年にカリフォルニア大学で紹介されたソケットです。構成は2ピースソケットで、装着時の快適性や懸垂性の向上、歩行時の伝達効率を考慮したソケットデザインです。
ライナー、断端ケア用品
ライナー
義肢を断端に装着する際に義肢の懸垂、体重支持、断端の保護などをするために装着するパーツで、シリコン製やウレタン製などがあり、それぞれ特性を理解し選ぶことが重要です。
幸和義肢研究所では「オットーボック社」「オズール社」「啓愛義肢材料販売所」など、各社のライナーを取り扱っています。
※詳しくは各社のWEBサイト等をご参照ください。
●オットーボック
●オズール(パシフィックサプライ)
●啓愛義肢材料販売所
断端ケア用品
義肢での暮らしをサポートする便利な商品も各種取り扱っております。
パラシュートクロス
●大腿義足吸着式ソケットをはく際に使用します。
●従来のものよりソフトで、薄く、ソケットを装着しやすい材質です。
強力除菌消臭剤 除菌ちゃん
義手・義足のライナーやソケット部に使用する消臭剤です。装具の装着部、車いすや座位保持装置のシートなどにも使用できます。
臭いを隠すのではなく 臭いの元となる細菌を無くして消臭します。どんな素材にも問題なく、靴・皮革ベルト・プラスチック・メッシュ 様々な素材に直接吹きかけるだけで除菌と消臭を行えます。
■義肢QRコード
幸和義肢研究所では、当社で扱った義肢に、以下のようなQRコードシールを発行しております。
義肢は医師の処方のもと、障がいの度合い、病状などに応じてオーダーメイドで製作していますが、時に製作時のデータがわからず「義肢難民」となってしまっている方をお見かけします。
こうした問題を解決し、修理・調整・作り替えなどの際に困らないよう、お一人ごとに製作履歴にアクセスできるQRコードを発行し、アフターケア及び義肢難民防止を心がけております。